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ケニア通信 - ケニアの部族、特にマサイ族について

ケニアの部族、特にマサイ族について

カテゴリ : 
ケニア通信
執筆 : 
satoru 2005-3-27 0:00
先に記したように、ケニアのアフリカ系住民は50程度の部族に分けられる。ケニアの部族の先祖はアフリカの各地から来たので、ケニアを「アフリカ文化の小宇宙」とか「アフリカ部族の坩堝(るつぼ)」とか呼んでいる本もある。単一民族の国である日本に住む我々にとって「部族が持つ意味」を理解することは何とも難しい。そこで今回はケニアの部族、特にマサイ族について、紹介することとした。

ケニアの部族を人口割合の大きい順に記すと、キクユ族(21%)、ルヒヤ族(14%)、ルオー族(13%)、カンバ族(11%)、カレンジン族(11%)と続く。人口割合が10%以上なのはこの5主要部族で、その合計は全体の70%を占める。主要部族の内、キクユ、ルヒヤ、カンバは西アフリカから東進してきたバンツー系と呼ばれる農耕部族である。ルオー、カレンジンは北からナイル川沿いに南進してきたナイロティック系と呼ばれる遊牧民族で、後述するマサイ族(2%)もこの系統に属する。個人差も結構大きいものの、一般にバンツー系はふっくらとした顔立ちで背は余り高くない一方で、ナイロティック系はスリムで長身である。

ケニアの部族について、この半年間に小生が学んだ事柄と解説を記せば、
・ケニアの各部族は原則として独自の文化と言語を有している。よって、ケニア国民の多くは自分の部族の言葉の外、共通語のスワヒリ語と英語の3つの言語を使える。日本人に比して何と国際的なことか。
・当初は躊躇を覚えたが、実はケニア人に「どこの部族の出身か」と聞くのは全く失礼ではないようだ。
・同じ部族は同じ地域に住んでいるので結婚は同じ部族内と言うのが普通だが、部族を越えた結婚は決してタブーではなく、特にナイロビのような大都会では珍しくもないようだ。この場合、生まれた子供は父親の部族に属することになる。
・選挙の際も、特に都会では出身部族に拘ることなく、ベストな候補に投票すると言われている。でもやはり、政治家は部族代表の意味もあるようであり、現政権の大臣の出身部族を見ると、巧みに部族間のバランスを取った構成となっている。
・他の多くのアフリカ諸国ではしばしば部族間抗争が発生し、内戦や大虐殺にまで至っているが、独立後のケニアでは部族間の大規模な武力闘争は一度も起こっていない。これは特筆に値することであり、ケニアの政治的安定度や民主主義の成熟度の高さを示すものと言える。

次に、皆様もきっと名前をご存知の「マサイ族」は人口割合は2%程度と小さいものの、今なお遊牧民の伝統を守って生活する誇り高い部族である。マサイ族は元々はスーダン南部に住んでいたナイロティック系の部族で、15世紀頃からナイル川に沿って南下を始め、圧倒的な武力で行く先々の部族を服従させ、19世紀末までにケニアの北部、そこから南に続くグレイト・リフトバレーと呼ばれる大地溝帯、更にはタンザニアの中央部にまで移り住んだ。

マサイ族の生活の特徴のいくつかを紹介すれば、
・マサイ族は遊牧先でマニヤッタと呼ばれるマサイ村を作って住む。マサイ村はアカシアの木の枝などで回りを囲んだ楕円状の村で、回りに沿って20軒前後の家が建てられ、その内側は牛を飼う丸い広場となっている。
・マサイ族の生活は「牛」中心であり、牛のためにより良い放牧地を求めて移動し、牛を襲う肉食獣には命をかけて立ち向う。主食は牛のミルクと血であり、家は牛の糞と泥を混ぜた物で床や壁を作る。牛は大切な財産であり、お嫁さんも牛と交換でもらえるので、男は牛を持っていないと結婚もできない。
・マサイ族は世の中の全ての牛は神様がマサイに与えた物であり、自分と家族が所有している以外の牛は昔に彼らの手から奪われたものと信じている。従って、他人の牛を無断で持っていくのは「盗む」のではなく「本来の持ち主である自分の所へ取り返す」ことに他ならないと考えている。このため、いつも他の牛所有農家と争いを起こしている。マサイ族にとっては神戸牛も松阪牛もマサイの物ということになるので、思わず笑ってしまう。
・マサイ社会は一夫多妻制で、妻の家に夫が通う通い婚による夫婦生活が営まれている。妻は自ら家を作る外、水汲み、搾乳、家事、子育てなどを全てやらなければならない。妻の数は通常は3人くらいまでだが、全ての妻が同じ村に住むので、関係がややこしくならないか心配してしまう。そのためかどうか、親が決める第1夫人の後については、第2夫人は第1夫人が、第3夫人は第1と第2夫人が決める権利を持っているとのことである。

今回の写真は全てマサイ族関係のものであり、上から左右の順に、?マサイ部落訪問時の歓迎、?マサイの火起こし、?マサイの家の前で、?マサイの家々、?マサイの長老・モラン(戦士)と一緒に、?マサイの踊り、である。女性の首飾りの大きなビーズやモランのシュカと呼ばれる赤い布がマサイのファションの特徴となっているので、注目いただきたい。

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コメント

投稿者 スレッド
kiyonori
投稿日時: 2008-12-13 18:31  更新日時: 2008-12-13 18:31
 Re:ケニアの部族、特にマサイ族について
いつもながらのきれいな写真と興味深いレポートありがとう。?「部族の坩堝」ですか。想像のつかない世界ですね。そんな超多部族国家の安定が政治と民主主義でなってるってすごいな。普通はトンデモナイ権力でしか成り立たないと思うんだけど。?「マサイ族」ってアフリカだったっけ。てっきり西部劇に出てくるアメリカインディアンだと思ってた。でも奥さん1人でも持てあますのに3人とはね。「マサカ」って感じだよな。
skyblue
投稿日時: 2008-12-13 18:31  更新日時: 2008-12-13 18:31
 Re:ケニアの部族、特にマサイ族について
いろいろな角度からのケニアの情報を有難う。だんだんケニア通になってきたような気がします。そうなると今度は是非万博のグローバルコモン5アフリカ共同館でケニアの出展を早く見てみたい気がします。先日地元のローカル紙のフレンドシップ事業で28番目にケニアが登場しました。昨年11月3日大統領が東浦町を訪問したときの写真入でした。大使様もこの時いらしてたのですね。ケニアは神が世界中の美しい土地を一つの国に集めたと言われてるそうですね。そんなケニアにせめて万博で少しでも触れてみたいです。今月、東浦町民代表がケニアを訪問するとのことでした。
satoru
投稿日時: 2008-12-13 18:31  更新日時: 2008-12-13 18:31
 Re:ケニアの部族、特にマサイ族について
お二方からのコメント、ありがとうございます。マサイ族の戦士は凄く格好良くて、世界にはマサイに憧れている女性も少なくないようです。そして、マサイと結婚する白人女性も後を絶たないし(「マサイの恋人」という本を書いた白人女性もいる)、最近では日本女性がマサイと結婚するという噂も聞きました。万博関連では、4月中下旬にケニアのフレンドシップ・タウンである東浦町から町長さん以下50名余りがケニアにいらっしゃると聞いています。なお、万博でのケニアのナショナルディは8月18日(木)ですので、お忘れなく。
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